恐ろし!怪し!もののけ古典講座

妖怪や幽霊、神仏等、怪しいモノが登場する古典作品を紹介します。
高校生のテスト対策や大学受験対策でも役立つように、
古典文法や古文常識を解説します。が、メインはオカルト関連の薀蓄です。
「古典は面白い!」と言う若者が増えると、もののけ達も喜びます。
恐ろし!怪し!もののけ古典講座 TOP  >  2015年03月

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尼、地蔵見奉ること(『宇治拾遺物語』より)(5)~「なむ(ん)」の識別~

<前回までのあらすじ>
「お地蔵様が夜明け前に歩き回る」という都市伝説を信じる年老いた尼さんは、そのお地蔵様に会いたい一心でさまよい歩くのだった。そんな彼女に近づいてくるギャンブラーがいた。彼が「地蔵の居場所に連れて行ってやるから、褒美を寄越せ!」と持ちかけると、尼さんは自分の着物を差し出すことを約束する。2人はいよいよ地蔵のもとへと足を運ぶのだった。


みみずく:前回まで、あまりにもダラダラっとし過ぎたので、今回からは本格的にペースアップします。

リョウキ「ペースアップ=手抜き=雑になる」ってことですよね?それは……グヘッ……(リョウキの頭に炸裂する便覧の角!!)

ギャンブラーの詐欺手口が明らかになる!!



みみずく:2段落目も、「オニババアの法則」で主語を書き込んでいくよ。

 、喜びていそぎ行くに、/そこの子に地蔵といふ童ありけるを、/(博打は)それが親を知りたりけるによりて、「地蔵は」と問ひければ、/、「(地蔵は)遊びに往ぬ。今来なん」と言へば、/(博打は)「くは、ここなり。地蔵のおはします所は」と言へば、/、うれしくてつむぎの衣を脱ぎて取らすれば、博打はいそぎて取りて往ぬ。

【訳】尼は、喜んで急いで行くと、そこの子どもに地蔵という(名前の)子どもがいたのを、(博打打ちは)その子の親を知っていたので、 「地蔵は(どこにいるのか)」と(親に)問うと、(親が) 「(地蔵は)遊びに行っている。直きに帰ってくるだろう」と言うので、 (博打打ちは)「さあ、ここだ。地蔵のいらっしゃる所は」と言うので、 尼は、嬉しくなって紬の着物を脱いで取らせると、博打打ちは急いで受け取って去ってしまった。



リョウキ:うわっ!これはひどい!やっぱりギャンブラーは尼さんを騙すつもりだったんじゃん!!

キョウキ:「ピ●チュウに会いたい!」って人に、「光宙」と書いて「ピ●チュウ」と読むキラキラネームの子どもを紹介するようなもんね(笑)

リョウキ:昔からキラキラネームは存在したってことかな?いくらありがたい存在だからって、自分の子どもに「地蔵」なんて名前を付けるかなぁ……

みみずく:「リョウキ」とか「キョウキ」とか、君たちの物騒な名前だってキラキラネームじゃないか!

リョウキキョウキ:あっ……(顔を見合わせる2人)

みみずく:まあ、人の価値観はそれぞれだから、キラキラネームを叩くのはそのくらいにしておこう。

本題に戻って、大事なところだけ簡単に確認するよ。「それが親」って、どう訳すの?

リョウキ:「それが地蔵の親です」ってこと?

みみずく:「それ」って何だよ?意味が分からない。

体言+「が」+体言の形では、多くの場合、「が」が連体修飾格になる。つまり、「が」を「の」に言い換えられるということ。

たとえば、「我が国」という言葉で、「我(わ)」は「私」のことだから、体言(我)+「が」+体言(国」となっている。これは、「私国」って意味だろ?「私国」と言ったら、頭のオカシイ人の妄想になっちゃうよね(笑)

キョウキ:じゃあ、「それ親」も「それ親」と言い換えると……「それ」は、地蔵君のことですか?

みみずく:その通り!じゃあ次。「遊びに往ぬ」の「往ぬ」を品詞分解すると?

リョウキ:「往」と「ぬ」?

みみずく:残念!これは、「往ぬ」で一単語だ。ナ行変格活用動詞は「し(死)ぬ」と「いぬ」の2つだけだったよね?そのうち、「いぬ」の方には、「去ぬ」や「往ぬ」の漢字を当てるんだ。だから、ここの「往ぬ」は、ナ変動詞「往ぬ」の終止形

「なん(む)」の識別を考えよう!



みみずく:その下の「今来なん」を品詞分解すると?

リョウキ:「今/来/なん」かな?

みみずく:またまた残念!ここでは、「なん(む)」の識別について復習しておこう。

「なむ(ん)」の識別

①「なむ」の前が「死・去・往」→ナ変動詞「し(死)ぬ・い(去・往)ぬ」の未然形の活用語尾+推量などの助動詞「む」
②「なむ」の前が連用形→強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量などの助動詞「む」(確述用法)
③「なむ」の前が未然形→他への願望の終助詞「なむ」
④①~③以外→係助詞「なむ」(文末に連体形が来ることが多い)


なむ」なら①で「死ぬだろう」、「言ひなむ」なら②で「きっと言うだろう」、「言はなむ」なら③で「言ってほしい」となる。それ以外は④で、多くの場合、「母なむ宮なりける」のように、係り結びの法則(なむ+連体形)から文末が連体形になるんだ。ただ、この文末は省略されることもあるので、文末だけで④を判断するのは難しい。④は、あくまでも①~③以外ということで。

キョウキ:先生、質問~

「今来なん」の「来」はカ変動詞で「こ・き・く・くる・くれ・こ(よ)」と活用しますが、語幹が無いので、未然形の「こ」と連用形「き」は両方とも「来」の漢字を当てます「来なん」は、「こなん」なのか「きなん」なのか、見分けが付きませんが、どう考えればいいでしょうか?

みみずく:形式的に見分けが付かないときはどうするか?そんな君には、魔法の言葉を教えよう。その言葉とは、「ぶ・ん・みゃ・く」つまり「文脈」(笑)

古典でも英語でもそうなんだけど、訳の手順としては、「文法→文脈」が王道だ。それを逆にして、何でもかんでも文脈から判断しようとする生徒がいるけど、そういうおバカさんは誤読する。まずは文法規則に従って、忠実に直訳することが大切だ。でも、それじゃあどうしようもないときが出てくる。そんなときは迷わず文脈判断するんだ。

リョウキ:それなら「来なん」も……

みみずく:文脈から攻めてみよう!「来なん」の主語は?

キョウキ:今からやって来る人だから地蔵君。

みみずく:その通り。じゃあ、「地蔵君はきっと来るだろう」がいいか、「地蔵君は来てほしい」がいいか、どっち?

リョウキ:「地蔵君はきっと来るだろう」です。

みみずく:それでいいんじゃない?

というわけで、次回がいよいよ「尼、地蔵見奉ること」の最終回だ。気合い入れていくよ!(続く)

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[ 2015年03月27日 16:00 ] カテゴリ:宇治拾遺物語 | TB(0) | CM(1)
プロフィール

みみずく先生@妖怪博士見習い

著者:みみずく先生@妖怪博士見習い

都内(墨田区両国周辺)で家庭教師業を営んでいるみみずくと申します。本ブログでは、妖怪や幽霊、神仏等、怪しいモノが登場する古典作品を紹介します。高校生や大学受験生の役に立つように古典文法や古文常識に触れつつ、もののけ達の跋扈する、ちょっぴり怖くて魅力的な世界を散策します。一人でも多くの方に古典を楽しんでもらいたいと思っています。家庭教師・ライターのお仕事依頼等は、下のメールフォームからお願いします。

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